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第121回定演特集 ~その3~

 サクソフォーンはピアノやヴァイオリンなどのクラシック一般でよく目にする楽器たちよりも誕生年代がかなり新しい楽器です。1840年代になってようやく登場しました。そんな訳で無論、サクソフォーンを扱った曲を作るのもわりと新しめの作曲家たち、少なくともサクソフォーン誕生と同時期を生きた作曲家たちに任されることになったのです。しかしどちらかと言えば、ポピュラー音楽やジャズの分野で活躍することが多く、クラシック音楽の範疇ではまだまだメジャーな存在とは言えないかも知れませんが、サクソフォーンのための作品でもミヨー作曲の『スカラムーシュ』は認知度の高い曲なのではないでしょうか。少し詳しくなると、モーリスの『プロヴァンスの風景』やグラズノフの『サクソフォーン協奏曲』なんかも知っていたりして。
 ポール・クレストンによる『サクソフォーン・ソナタ』は、この楽器のために書かれたソロ作品の中でも名作の呼び声高い一曲です。サクソフォーン曲というのも探してみると、わりとフランス系の作曲家(前述のミヨーやモーリスもフランス人)による作品が多いのですが、クレストンはイタリア系のアメリカ人で、知っている人からすると曲の中身も聴き慣れたものよりは多少毛色の違う作品となるのでしょう。
 この曲は急-緩-急の3楽章構成になっています。第1楽章は冒頭から威勢の良い調子で始まり、その推進力は衰えることなく音楽を最後まで導くと楽章を堂々と閉じます。続く第2楽章は一転して穏やかな雰囲気の中に、透明感あふれる美しいメロディーが歌われる楽章。途中高揚して大きなクライマックスを迎えた後、再び元の夢見るような静けさのうちに終わります。最後の第3楽章は最大の見せ場と言ってもいい、サクソフォーンとピアノが両者ともに目まぐるしく動き回る無窮動風の楽章です。名作という評判を裏切らない、まさに一級品です。
 サクソフォーンは表現力が豊かでかつダイナミックレンジが広く響きの豊かな楽器です。このように性能の高い楽器にも関わらず作品がなかなかクラシック音楽界で浸透しないのも、単に時間の問題と片付けることも出来ましょうが、しかし現在まで生み出されている曲の中にも十分に一聴に値する作品はたくさんあると思います。
 それに、オリジナルの作品に限らず、編曲作品でもサクソフォーンは高いポテンシャルを発揮します。シューマンの『アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70』という元々はホルンの曲がありますが、自分が聞いた中で最高の演奏はサクソフォーンとピアノによる演奏です。案外どんな曲でも、その曲の持ち味を崩すことなく、なおかつサクソフォーン自体の個性もとどめながら演奏することが可能なのだと思っています。
 今回のクレストンをはじめとして、より多くの人がクラシックサックスの世界に耳を傾けるようになってくれれば嬉しいです。

《今日の1曲 ~第23回~》
『ファジイバード・ソナタ Op.44 / 吉松隆』

 サックス繋がりで紹介まで。私が中学生の時に偶然聴いたのが、このサックスのための変な名前のソナタです。作曲者の吉松隆さんは、大河ドラマ「平清盛」でも音楽を担当していたので、名前をご存知の方も多いのではないでしょうか。吉松さんの作品には鳥の名前を冠したものが多く、例えばフルートのための『サイバーバード協奏曲』や弦楽合奏とピアノのための『朱鷺によせる哀歌』がそうです。他にも星に関係ある名前が付いた曲も多いですね。
 聴いてみれば分かりますが、この曲、すっごいカッコイイです。ノリがすごく気持ち良い。見せ場も満載で、サックスの機能を余さず使いこなしている感じがします。しかしまあ、実際に演奏するとなったら死ぬほど難しいんでしょうね……。ピアノも一筋縄じゃ弾けそうにないですし、その上お互いにアンサンブルしなきゃいけない訳ですから、相当手のうちに入れてからじゃないとろくな事にはならなさそうです。

『ファジイバード・ソナタ Op.44 / 吉松隆』
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