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第121回定演特集 ~その2~

 ピアニストにとってリストという作曲家は意義深い存在です。ショパンと共にピアノの技術的側面を押し広げた人であり、とりわけ超絶技巧とも言われる絢爛豪華なテクニックをそのまま応用した彼のピアノ作品が後世のピアノ曲に与えた影響は計り知れません。リスト以前と以後では、ピアノ曲演奏に必要となるテクニックが変質しているのがよく分かります。また彼の輝かしい演奏スタイルとコンサート活動は、その後のピアニストの在り方そのものを大きく変えたと言っても過言ではないでしょう。ピアニストが本番に暗譜をして弾くようになったのも、彼が楽譜を見ずに演奏していたのを、クララ・シューマンが真似して演奏会をし始めたからだと何とか……。
 しかしリストが作曲家としても非常に野心的だったことは、見過ごせない事実です。最も顕著な例は、多楽章構成の曲を切れ目なく連続して繋ぎ合わせる手法であり、ただ単純に楽章間をアタッカさせるのではなく、ある主題を幾様にも変容させ展開させ循環させることで、全体としての統一感を作り出しています。2つのピアノ協奏曲やソナタ風幻想曲《ダンテを読んで》などで練り上げられたこの手法は、遂に彼の至極の大曲である「ピアノソナタ ロ短調」に結実することになります。
 「スケルツォとマーチ」は彼がこの循環手法を研究する一環として生み出された作品と考えられており、曲全体が少ない動機によって統一されていて、なおかつ構成的にはソナタ形式に近い形を取っています。演奏にとても高度な技術を要する曲のため、当時はリストの弟子であったハンス・フォン・ビューローしか弾きこなせる者がいなかったという逸話が残っており、そんな理由から現在でもあまり弾かれることのない云わば"隠れた名曲"です。
 リストは非常に多作な人で、現在レパートリーに定着している作品の数々も彼の膨大な作品の氷山の一角に過ぎないでしょう。しかしそうした作品の中にもこの「スケルツォとマーチ」のような興味深いものが隠されているのだから面白いですね。
 ピアニストとしてのリストは早々に前線から身を引きましたが、作曲家としてのリストは常に革新的であり続け、交響詩という分野を開拓したり、調性の概念を拡大したり、非常な進歩を見せました。晩年には自ら無調を標榜するような作品を生み出し、今でこそシェーンベルクやアイヴズあたりの無調とは比べるべくもありませんが、当時としてはショッキングな響きを持っていたことでしょう。そうした斬新な作品がまだ隠れているやも知れない、と考えるとオタク魂がくすぐられるようです。

《今日の1曲 ~第22回~》
『即興曲第3番 変ト長調 Op.51 / ショパン』

 上がリストなので……、という訳ではありませんが。私はショパンがそこまで好きではありません。多少は弾きますが、結果的に満足行くほど弾きこなせないのであまり好きじゃないです(動機不純)。むしろ好きではあっても、別に自分が弾かなくてもいいような気がして弾きません。要は周りがみんなショパンを弾くので食傷気味になったのです。
 しかしそんな私でも愛して止まない曲というのはあります。それがこの即興曲第3番です!
 「即興」曲とは言っても即興で生まれた曲ではもちろんないのですが、簡素な形式の中にまるで即興で紡がれていくような天衣無縫で愛らしいメロディーが流れ、聴く側も肩肘を張らずに耳を傾けることができます。コンサート会場でじっくり聴くというよりは、何か飲みながら軽い雰囲気の中で聴いていたいですね。ソナタとかポロネーズと比較してみれば、こうした曲調はサロン的と言えるものですが、私はこちらのショパンの方がより魅力的に感じる時が多いです。同じ理由でワルツも大好きです。
 でもこの曲、実際に弾こうとすると聴いた感じより遥かに難しくて、譜読みをしてみてはやっぱり途中で辞めるというサイクルが続いております。そのうちお披露目できるようになれば嬉しいですね……。

『即興曲第3番 変ト長調 Op.51 / ショパン』
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