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定演特集 ~その3~

定演特集その3です。
ショパンとリストは因縁のペアですね。生まれた時代が同じで両者共に腕利きピアニスト、お互いに親交もあって、現在ではロマン派を代表する作曲家として人気があります。ショパンがポーランド生まれで、リストがハンガリー生まれ、当時の音楽界の中心地ではない場所から二人がやって来たというのも、ある意味で面白い共通点でしょうか。二人の生み出した作品は、その後のピアノ音楽に革命的な変化をもたらし、特に技術面での書法を革新させたと言えます。
しかしながら二人の活動スタイルは幾分異なっていました。ショパンは繊細な性格の持ち主で、ピアニスト業も大きな会場より、どちらかと言うとサロンに集まる少人数のために演奏することが多かったようです。リストの場合はその剛腕をフルに活かして、世界を股に掛けるスーパーヴィルトゥオーゾとして聴衆を熱狂させたと言われています。ライブパフォーマンスもさることながら、麗しきピアノの貴公子ぶりから多くの女性を魅了し、リストの熱心な女性ファン達が彼の投げた白手袋を奪い合って乱闘になったとかなんとか……。まあ、二人とも晩年は隠遁生活で作曲に専念したところは一緒です。
バラードは元々が文学作品として、その後は声楽作品のジャンルになりましたが、ショパンはこれを器楽曲の作品として初めて用いました。スケルツォ同様にバラードも全部で4曲が作られていて、スケルツォがピアノの技術面での特徴を見せているとすれば、バラードは作曲面での特徴が大きいように思います。今回演奏されるバラード第3番もそうですが、形式的な定型を見せることなく、非常に自由な構造で様々なモチーフが現れたり消えたりしながら曲が進んでいきます。このバラードという曲は特定の詩を題材にして、その世界を音楽的に表現したものとも言われており、作曲家ショパンの創意工夫と霊感の調和が随所に見られる、現在でも人気の高い一曲となっています。
一方のリゴレット・パラフレーズ。これはピアニストとしてのリストがどのような人間だったかをよく表しているように思います。リストがヴィルトゥオーゾとして人気を博していたことは言うまでもありませんが、彼の凄絶なテクニックを聴衆に理解させるには当時作られていた他人の曲では物足りなかったと見えて、リストは自分の演奏会用に様々な作曲家の作品を自ら編曲して超絶技巧を要する曲に仕立て上げました。このリゴレット・パラフレーズが書かれた時、リスト自身はすでに一線を退いていましたが、ハンス・フォン・ビューローというこれまた腕利きの弟子が演奏する為に編曲したみたいです。ヴェルディの歌劇「リゴレット」の中で歌われる四重唱を扱っており、本来四人で歌うものを二つの手で弾くというだけでもとんでもないのですが、そこに華麗なスケールやアルペジオ、重音奏法やオクターブでの速い連打といった難技巧がてんこもりになっていて、いかに聴衆の心を捉え熱狂させるかということがよく分かったアレンジになっています。

〈今日の1曲〉
『アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821 / シューベルト』

「アルペジオーネってなんだ?」という理由で聴いてみたのが最初でした。アルペジオーネとはシューベルトの時代に発明された弦楽器で、ギターのようにフレット構造をしたチェロみたいな楽器だったようです。残念なことにアルペジオーネはその後廃れてしまい、現在では専らチェロ(たまにヴィオラ)で演奏されます。こういう楽器の為に作曲をしてしまうあたり、シューベルトはつくづく残念系の男でしたね。そんなことを言ったらバッハの無伴奏チェロ組曲だって、実は現在で言うところのチェロの為には書かれていない訳で……。
しかし楽器のせいとは言っても、この曲が音楽史の闇の中に取り残されなくて本当に良かったです。シューベルトの作品の中でもかなりの名曲だと思います。この曲を初めて聴いた頃はあまりシューベルトが好きではなかったのですが、聴いてすぐにこれは好きになりました。第1楽章での歌うようなメロディーに仄暗い感情が寄り沿っているのはシューベルトならではのもの。第2楽章における安らぎに満ちた表情。アタッカで続く第3楽章では幸せな満ち足りた様子が窺えます。
そのうちチェロの人とやってみたいなあ、と思っているのですが、チェロ弾きに言わせるとなかなか難しいようですね。……残念。

『アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821 / シューベルト』
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