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定演特集 ~その2~

定演特集、その2は……出ました!スクリャービン!
スクリャービンはどうなんでしょうね、今では有名作曲家として認識されているのでしょうか?ロシア近代の中でも、ラフマニノフやプロコフィエフなんかと比べると、まだまだ影に潜んでいるような感じがありますが。
正直、私にはスクリャービンのことはよく分かりません。弾いたことないし。
これはかなりの個人的意見ですが、私にとってスクリャービンという名前は作曲家のカテゴリーではなく、もはやそういう一つのジャンルで別世界のものです。彼は最後にとんでもない場所まで行ってしまいましたから。後世に多大な影響を与えたことは事実ですが、それでもどこか他の音楽とは隔絶されたものを感じてしまいます。

スクリャービンのスタート地点はロマン派の音楽です。ショパンなどの影響を強く感じさせますし、多分本人もそれを隠そうとは思ってないのでは。むしろそれまでのロマン派音楽よりも濃厚な音楽を生み出しています。彼がこうした作品を書いていた時期を指して「前期」と呼んだりしますが、今回の定演で藤原さんが演奏する2曲は、どちらも前期の作品です。
"ピアノソナタ第2番"は前期の真っ只中の曲。副題の「幻想」が示すように、冒頭の主題から聴く者を幻想的な風景へと誘ってくれます。スクリャービン曰く、黒海を訪れた際の印象を基にしているらしいです。本来は2楽章構成ですので、会場で第1楽章だけ聴いて「おっ!」と思ったらぜひ第2楽章も聴いて欲しいですね。
彼のロマンチシズムがついに行くところまで行ってしまった、前期の集大成と言われるのが"幻想曲"です。お恥ずかしいことに、私は最近までちゃんと聴いたことがありませんでした。形式的にはソナタ形式をとっており、しっかりした構成を持っていますが、音楽の中身は非常にドラマチックかつ幻想的(幻想曲だからね)なもので繊細さも兼ね備えていて、型にはまらない天衣無縫な才覚が溢れ出ています。結構な傑作だと思うのですが、作曲者本人はこの曲のことを忘れていたようで、知人がこれを弾くのを聴いて「この曲聴き覚えあるぞ。何だっけ?」みたいな反応だったみたいです。なんとまあ……。

〈今日の1曲〉
『アンダンテと変奏曲 ヘ短調 / ハイドン』

私はハイドンが大好きです。あらゆる作曲家の中でハイドンが一番好きです。それゆえに、多くの人にとってモーツァルトとベートーヴェンのサブ的位置にあったり、ソナチネアルバムでお世話になる人程度にしか認識されていなかったりということに不満を抱いています。
確かに、有名なお二人に比べれば深みが足りないとか、単純すぎてつまらんとかいう評価は分かります。私自身も時々そう思います。しかしながら、私が魅力に感じるのは逆にそうした単純さや平明な感情です。難しいことが分からずとも、音楽を通して人間の喜怒哀楽が直に心に響く。こんなに心の琴線に触れる曲を作り上げられるのは、まさにハイドンだけの業だと思います。これだけの温かみを感じさせる作曲家は貴重です。
しかしそのようなハイドン像が一瞬で様変わりしてしまうのが、今日の"アンダンテと変奏曲"です。主題のアンダンテを基に変奏が続きますが、その主題からしてすでに珍しく異様な暗さがあります。変奏を追うに従って感情の高ぶりが見え、最後のコーダに至っては激情が噴き出すようです。知らずに聴いたらベートーヴェンの曲と間違えかねません。とは言え、その暗闇の中にも皮肉があったり、一転して光があったり、情緒に欠かないのはさすがハイドンです。
「パパ・ハイドン」と慕われた温厚な作曲家が、五線譜の上に自身の心の奥をさらけ出した貴重なポートレートがこの曲なのでしょう。

『アンダンテと変奏曲 ヘ短調 / ハイドン』
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